2013/12/26

881【五輪騒動】都市計画談議(その9)神宮外苑の公園指定地から隣接の青山通り沿い大企業民有地に容積移転再開発の企みか

その8から続く)

 新国立競技場計画がらみで決めた「神宮外苑地区地区計画」の区域に、国有地でもなく都有地でもなく明治神宮用地でもない、一般の民有地が含まれいることが、わたしの興味をひき、妄想をたくましくさせてくれる。
 スタジアム通り沿いにあるJSCビルになる用地(現・国立競技場西テニス場)の西奥にある「外苑ハウス」のことはすでに書いたが、妄想的推測では建てなおす時に容積率アップを狙っているのだろう。それにしても、ちょっと見には外苑ハウスはいかにもゲリマンダー的である。

 秩父宮ラグビー場の南隣、青山通り沿いのいくつかのビルが建っている土地が、地区計画区域に入っているのが気になる。
 どうせなら、スタジアム通りと青山通りの外苑前交差点まで入れればよさそうなものを、そのあたりの中小ビル群の土地はゲリマンダー的に避けて、大きなビルが建つあたりだけが地区計画の区域に入っている。
 そこには伊藤忠商事本社ビル(22階建て、1980年)と三井不動産が開発した青山OMスクエアー(24階建て、2008年)がある。

 はて、こんな大きな新しいビルが建っているのに、再開発等促進区の地区計画をかけるとは、これらはもう建て直しを計画しているのだろうか。2008年に建ったビルをもう壊すとは、不動産投資が見合うのか。
 再開発事業を行うとすれば、こんなところではなくて外苑前交差点北東のあたりの中低層ビル群の土地ならば、はるかに投資効果がありそうなものを、なぜそこでないのだろうか。まあ、権利者が多くて話ができなかったのであろう(と、思う)。

 妄想を働かせると、伊藤忠商事と三井不動産は、外苑地区の再開発に投資する目的で、この地区計画に参加したのかもしれない。つまりビルの場所に意味があるのではなく、その企業があることに意味があるのかもしれない(と思うのだ)。
 あるいは、伊藤忠本社ビルは30年以上経ったからとての建て替えを目論見ているかもしれない。6年やそこらの青山OMスクエアも壊すのかもしれない。
 でも、そんな大きなビルを壊して建てなおすのに、地区計画が何の役に立つかって思うだろうけど、これが役に立つのですな。

 建て替えるとしたら、いまのビルよりも床面積をかなり大きくしないと、不動産投資としては意味がない。プロの商社や不動産屋が、単なる建て替えをすることはあるまい。
 では建て替えたら、より大きくなる方法は何か。
 考えられるのは、北に隣接する秩父宮ラグビー場と神宮外苑諸施設の土地と合わせた地区整備計画をつくって、容積率移転による容積率の増加である(ような気がする)。


 ラグビー場用地も外苑の土地も容積率は200%だが、風致地区かつ都市公園区域内だから、高さが15mで3階建てまでだし、建蔽率は2パーセント(特別でも10%)まで。
 用途規制も厳しくて、住宅、事務所、商業施設などは不可で、運動施設(野球場や競技場など)、教養施設(植物園、図書館など)、便益施設(売店、レストラン、ホテルなど)などに制限されるから、容積率200%をとても使きれない(ような気がする)。
 いっぽう、青山通り沿いの土地は商業地域、容積率600~700%で、高さ用途ともにほぼ制限なしである。

 そこで、地区整備計画でもって、ラグビー場用地や外苑諸施設だけでは使い切れない容積を、こちらに移転をするのである。東京駅、愛宕山、日枝山王神社などでやったのと同じである(らしい)。ラグビー場用地も外苑用地も広いから、かなりの床面積が移転できるだろう。
 こうすれば青山通り沿いに900か1000%かそれ以上の、丸の内並みの大きな容積率で建てることができて不動産投資効果は上がるし、ラグビー場等も容積を売ったことによる対価を、自分の施設の建設費等に充てることができる(ような気がする)。

 ただし、ラグビー場用地は国有地だから、国有財産を民間開発との関係でいじるとなると、国有財産法の規制や政治的介入やらで、いろいろ面倒なことがありそうだ。
 ところがこんなニュースを見つけた。
スポニチニュースに、「東京五輪後神宮再開発プラン!神宮球場と秩父宮の場所入れ替えへ」とて、野球場とラグビー場を建て替えるにあたって入れ替えをしようという話があると書いてある。

 なるほど、神宮球場の明治神宮所有地と、ラグビー場の国有地を交換するのか。
 こうすれば隣も民有地となって、明治神宮という宗教法人も含めての民民の間での関係となるから、相手が国有地ほど難しくなない(だろう)。
 そうか、今の場所で建て替えたってよさそうなものを、そうやってわざわざ動かすことで開発のやりやすさを考えついたのか、知恵者がいるんだな(と、妄想したのである)。

 ラグビー場は国施設だから税金で建てるだろうが、神宮球場は私営であるから民間資金調達が必要だ。そこで、そうやって神宮球場の建設費を、容積売買で調達しようと算段しているらしい(ような気がする)。
 でも、今の神宮球場もラグビー場も風致地区指定がなかった時に建ったから、あんなに背が高いけど、今は風致地区の制限がある。
 国施設のラグビー場は国立競技場なみに、都との協議で風致地区規制を事実上は不適用にさせて高く建てるかもしれないが、民営の神宮球場は都の許可だから、簡単にそうはいかないだろう。
 まあ、新国立競技場なみに、政治的な働きかけで、いろいろ例外的な適用するのだろう。

 念のために言っておくが、ここに書いたことはすべて私個人の妄想である。本当にこんなことを関係者が考えているかどうか、まったく知らない。
 わたしの趣味としての勝手な都市計画推理遊びである。

つづく 9回も書いてそろそろ飽きたなあ、つづきは都市計画じゃないことを書こうかなあ)

追記2013/12/29
 ここまでに書こうか書くまいかと逡巡していたことがあるが、やっぱり書いておくことにした。
 それはラグビー場(跡地)が、その隣接する複数の民有地と共同して、ある一定の条件下で再開発をするなら、風致地区規制も都市公園制度も外して、ほぼ、どんなものでも建てることができる、完全に合法的な例外的方法があるということだ。
 だが、合法的とはいっても、都市公園指定されている外苑からいえば合理的とは言えない超妄想なので詳しいことは書かない。都市計画プロは知っているだろうから、お前は知らなかっただろうと言われても癪なので、これだけを書いておいた。
 都市計画審議会は、そういう再開発の都市計画が出たら、法の基本に立ち返って真剣に審議してもらいたいと思う。

これまでの論考は「◆新国立競技場に関する瓢論と弧乱夢と似非言い
http://datey.blogspot.jp/p/866-httpdatey.html

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