2015/10/20

1135【終活ゴッコ】建築家山口文象と初期RIAに関する資料コレクションをRIA山口文象資料庫に納めた

●蔵書を箱づめ送り出す

 蔵書をどんどん手放している。他に手放すべき財産らしいものがないので、これが重要なる終活(終末活動)である。
 箱詰めして送り出すのだが、箱詰め作業がけっこうな労働になるので、ただいま腰椎圧迫骨折治療中の身としては、リハビリテーションを兼ねてボチボチユルユルと進めている。

 あちらこちらの知人たちに、こんな本があるけど要りませんかと、本棚の写真を添えて頼みこんで、受け取ってもらうのである。
 今年の初めに、知人の若い研究者に、本棚の写真を送って、この中で要る本があるなら、喜んで差し上げると言ったら、100冊くらいを引き取ってくれた。
 これに味を占めて、この分野の本ならあの人が、この分野の本ならこの研究会メンバーが、などと、あちこちに声をかけて、良い返事をいただいたところに箱詰めして送る。もしかして押し付けになっているかもしれない。

 もちろん、近くの古本屋に売るとか、震災復興支援で古書寄付なんて方法もあるのだが、それは最後にして、やはり読みたいお方に受け入れていただきたいのである。特定のテーマによる資料収集は、そのテーマに関係の深い方に受け取ってもらいたいとも思う。 
 ある友人が、全部を受け入れようと、超ありがたいことを言ってくださったので、それに甘えてボチボチ送り付けている。ただし、何でもかんでも片端から詰め込んで送るのも申し訳ないので、ジャンルごとに整理して箱詰めして送る。
 
 そうやって蔵書を棚卸していると、同じ本が2冊も出てくることがたびたび出現する。ボケたので同じものを次々に買った、のではない。
 この現象の原因は、買ったけど読まないままに忘れてしまい、また買ったに違いないのである。自分の興味ある本はいつまでも変らないってことか。

 稀覯本を集める趣味はないが、なかには珍しいような本もある。調べもののために古本屋めぐりしていて発見した戦前の本など、調べものが終ってからは本棚に入りっぱなしだった本を、懐かしく再発見している。それを読んだりするから、箱詰めは遅々として進まない。

●未読本の読破で余生を送る

 前から自覚していはいたが、買うばかりで読んでいない本、つまり未読本が非常に多いのが、なんとも悔しい。興味ある本を見つけると、絶版になると困るからとにかく買っておく、という行為を重ねてきた結果が、未読本の山になったのだ。
 未読のままに人さまにさしあげるのは残念な気もするが、一方では、もらってくださった方から、キレイな本ばかりと感謝されて、良かったようで、こそばゆい。
 
 4年ほど前に、本の処分をしないと死んだ後の処分が大変だなあ、息子に申し訳ないことになるなあと気がついて、もうこれからは本を買わないと決めた。
 これからは未読本を読破することをもって、わが余生の過ごし方とすることにして、ウチにない本は近くの市立や県立の図書館に行くことにした。図書館は宝庫である。
 そしてほぼそれを守ってきたのだが、じつのところは未読本読破余生は遅々としてはかどらない。その最大の原因は、インタネットウェブ徘徊である。読書時間がWEB時間に食い込まれてしまった。どうやら読破前にわが身が終末になるだろう。

 未読本読破はもういいや、ってことにして、箱詰め外部送り出しとなったのである。自分ではできないので、未読本読破作業の外注である。
 今年になってから送りだし始めたのだが、これまでに段ボール箱22個、でも、まだまだ半分もはけていないから、本の終末よりわが身の終末が先になりそうだ。
 まあ、そのときはテキトーに息子がやってくればよい。そのときは持ち主は不在で、なにも文句を言わないからね。

●建築家山口文象関係資料をRIAへ

 そのような中で昨日のこと、大物コレクション発送して、ちょっと息をついたところだ。
 それは建築家・山口文象に関する資料である。RIA在籍時代の1982年に、「建築家山口文象 人と作品』(相模書房)を発刊したが、これの編集に6年間ほど携わった。
 50歳でRIAを離れてからも山口文象研究を続け、2003年には『新編 山口文象 人と作品』(アール・アイ・エー)を発刊、山口文象に関する資料を収集し続けてきた。その間に新発見もあった。

 完全に集めるほどのマニアではないが、初期RIA分の資料も入れて、ついつい増えて書棚の一角を占拠し続けてきた。だが、もうこの山口文象ストーカー行為も終活にすることにした。あとはベルリンに行って調べるしか残っていないが、そこまでの文象マニアではない。
 ということで、終活発送箱にこれら資料も加えることにしたのである。幸いにしてこの受入れ先は以前から明確になっており、山口文象が主宰したRIA(㈱アール・アイ・エー)である。
 RIAには、山口文象関係資料庫があり、戦前の山口文象建築事務所じだからの図面、書籍、書類を保存しているので、その中にわたしのコレクションも入れてもらうことにしたのである。
 送り出すとなって整理して、リストを作り、箱詰めしたら4個になったのであった。

 これまで10人くらいの学生や院生たちが、山口文象やら戦後復興期の都市づくりに関して論文を書くとて、わたしに問合せが来たり、インタビューされたことがある。
 その資料が、ボケが来つつあるわたしのところにあるよりも、RIAにあるほうが世の中に役立つ時が来たということである。

 なお、わたしの『山口文象+初期RIA資料まちもりコレクションリスト』を載せておいた。完全なリストではないが、ある程度は役に立つだろう。
 これまでのRIA所蔵の資料は、まだリスト化されていないので、検索が難しい。その内容をもっともよく知っているのは、わたしだろう。でも、わたしはもうボケてきたから、これを機会にわたしのコレクションと一緒に整理、リスト化をしてもらいたいものである。

参照:山口文象+初期RIAアーカイブス(伊達美徳編)
https://bunzo-ria.blogspot.com/p/buzo-0.html




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