2015/05/23

1091【言葉の酔時記】~してもらってもいいですか?という頼まれ方で誤解したぞ

 5月初めに尻餅搗いて第4腰椎圧迫骨折で寝たきりになり、その16日目に3度目の病院である。
 長時間待ちに待った問診がおわって、医師が言った。
 「では、コツミツドケンサしてもらっても、いいですか?」

 え?、してもらってもいいか、って?、「もらいたい」というからには、この医師はこのわたしにむかって、ご自分の身体のなにかを検査してもらいたいらしい。
 え?、患者はわたしなのに、なぜ医師がご自分の検査をするのだろうか。しかも素人のわたしに頼んでいる。

 「はあ?、で、どうやるんですか?」と聞けば、看護師がこちらへどうぞと検査室の前に案内してくれて、「ここで待ってもらっていいですか」という。
 では、後から医師が来るのだろう。だが、待てども一向に来ない。

 コツミツドとは骨密度のことだろうか、骨の硬さを調べるのか、ということは肌の上から骨をつまんで、固いか柔らかいか確かめるんだろうなあ、あ、この若い女医さんにそんなことやったら、ホントのお医者さんごっこだよなあ、妄想が膨らむ。
  
 と、検査室のドアが開いて、むくつけき男が「お待たせしました、こちらで検査します」と出てきて、中に引きずり込まれた。
 「上着を脱いでもらっていいですか」、「ここに座ってもらってもいいですか」、「ここに腕を置いてもらってもいいですか」と、矢継ぎ早の「もらってもいいですか」攻撃である、え?、え?

 さすがに分った。
 この病院用語で「○○せよ」との意味で「○○してもらっても、いいですか」と言うらしい。そんな専門語を使わないでもらいたい。
 「○○してください」と言えばよいのに、クソ丁寧語のつもりかよ。誤解したぞ。
 
 でもなあ、例えばだよ、菓子屋の店先で女性に「このケーキを買ってもらっても、いいですか」って言われたら、あなた、どう思います?
 だれでも、その女性がケーキを食べたいから、買ってくれと言ってるって思うでしょ。まさか、わたしにそのケーキを買って食えと言っているとは、普通は思わないよなあ。

 で、わたしの身体の骨密度検査結果は、
医師「骨は年齢相当で丈夫ですから、今回の負傷はよほどひどく転んだのですね」
わたし「はい、実に立派な演技で、オリンピック尻餅搗き競技でしたら優勝ですね」
2015/05/18骨密度検査結果



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