2014/08/08

977・俳人の松尾芭蕉「おくのほそ道」になんと「まちづくり」が出てくる

【2014再掲】まちもりコラム2004年4月号 

「おくのほそ道」と「まちづくり」

 
毎回のコラムで腹立てていては健康に悪いので、今月は古典文学のはなしと、ちょっと気取ってまいりましょう。


       白き袂のつづく葬礼    北枝
     花の香は古き都の町作り    曾良
       春を残せる玄仍の箱    翁


 これは1689年、松尾芭蕉が「おくのほそ道」の旅の途中で、山中温泉(石川県)に滞在したときに巻いた「山中三吟両吟歌仙」出てくる句です。
 芭蕉、同行した弟子の曾良、金沢の俳人立花北枝の3人で詠んだ36連句集で、上の句はそのなかほどに出てきます。翁とは芭蕉翁のことです。

 なんと「町作り」という言葉が出ています。その頃からこの言葉があったのでしょうか。この句の読み方は、こうです。

     花の香は古き都の町作り 白き袂のつづく葬礼
     花の香は古き都の町作り 春を残せる玄仍の箱

 さて、「町作り」の意味はどうなのかと、解説書を読んでみると、どうやら「街のたたずまい」という意味ですね。街の風景といってもよいかもしれません。
 現代の「まちづくり」と通じてはいますが、違うようでもあります。「町作り」が近代的意味を持つのはいつごろからでしょうか。
 もっとも、いまでさえも「まちづくり」の意味は人により千差万別ですが、。

(このコラムは2004年5月29日に「まちもり通信」に記載したが、都合によりこちらに転載した)       

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