2014/05/28

928・講演「松岡駒吉と山口文象が青雲荘に込めたメッセージ」

 「コンドルと惟一館/山口文象と青雲荘」と題する展覧会が開催中である。会場は友愛労働歴史館(東京都港区芝2-20-12)、会期は2014年3月10日から8月30日まで。

 コンドルとは、日本の明治政府がイギリスから招へいした建築家で、19世紀末から日本に洋風建築をもたらし、日本人建築家を育てた人である。
 山口文象とは、コンドルよりも2世代ほど後の建築家で、20世紀前半のモダン近代建築で一世を風靡した人である。
 この二人の建築家の作品、イギリス人の設計した19世紀末の和風建築「惟一館」の隣に、日本人が設計したモダン建築「青雲荘アパートメント・友愛病院」が、並んで建ったのが1936年のことだった。

 そして、このことについてわたしに講演を依頼されたのである。依頼主は展覧会主催の友愛労働歴史館と労使関係研究協会であり、聴衆は労働組合関係者を主とする。
 その講演題名は「松岡駒吉、山口文象が青雲荘に込めたメッセージ」であり、労働組合団体関係者にこの青雲荘と友愛病院の建築的意義を話せとの求めである。
 都市建築関係者や学生院生たちを相手に講演は何度もしてきたが、労働組合関係者相手とは珍しい体験である。
 聞く方も、労働運動などについての講演は聞くことはあっても、こういうテーマは珍しいことであるらしい。こちらにとっても、なにか新しい情報が得られるかもしれないと、楽しみである。

 ということで、2014年5月27日の午後の2時間を、有意義に過ごしてきた。
 なんと47名もの聴講者がいらして、研修会場が満員になった。その世界のことはよく知らないが、参加者リストにはUAゼンセン、JP労組、CSAなどの団体名が書いてある。山口文象創設のRIAから数名参加している。
 ドイツでの左翼活動とか、労働者への医療、あるいは東京駅の容積移転などについての質問や意見があって、こちらが勉強になった。

 勉強になったと言えば、この講演のために、松岡駒吉という戦前から戦後にかけて日本の労働運動の強力な指導者について、にわか勉強をして、これは面白かった。
 松岡がどうして山口文象を起用したか、そこをを知りたいが、憶測の遊びしかできない。

 話の基本的なことは、既にこの「まちもり通信」に、「コンドルの和風建築と山口文象のモダン建築の出会い」と題して書いているが、講演だからいろいろと派生する話題にも広げるし、ほとんど憶測になることもどんどん話したのであった。
 当日講演会で使用した映像資料は下記を参照のこと。
講演画像「松岡駒吉と山口文象が青雲荘に込めたメッセージ5MBPDF 2014)

参照:◎1936青雲荘・友愛病院診療所(東京市)
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