2014/05/13

924【五輪騒動】建築家って何でもどんな条件でも設計できるスゴイ人なんだなあ

 これはひとりの建築家への悪口である。ご当人が、悪口を言われも構わないと、おっしゃっていたので遠慮しないで言う。
 昨夜(2014年5月12日)、新国立競技場に異議申し立てをする人たちが主催するシンポジウムがあった。これで4回目だったかの集まりであり、その粘り強さに敬服する。
 今回のテーマは、現競技場を壊して建替えるという現在の計画を止めて、現在の競技場を修繕改修して2020年の東京オリピック会場に使おうということであった。
 要するに、治して使えば使えるし、その方が安いのに、もったいない、というのである。

 それはそれで、まことに結構なことであると思う。1964年のオリンピックの記念建築のとして、修復保存の意義もあるだろう。
 もっともわたしは1964年のオリンピックを観た記憶はないし、もともとオリンピック嫌いだから興味はない。

 わたしは昨夜のネット中継を、途中から視聴したのだが、気になったのは、その現施設修繕改修案の提案者が、伊東豊雄という建築家であったことだ。
 わたしは伊東については、どんな建築家でどんな設計するのか、ほとんど知らないが、有名な建築家であるらしい。

 ビックリしたのは、この人はこのシンポの主催者が異議申し立てしている新国立競技場コンペに応募して、落選した人であることだ。
 なかなか骨のある人だなあ、落選したのに粘り強くこうやって落選案を持ち込んで、異議申し立てをするんだもんなあ、偉いなあ。

 昔々、前川國男という建築家が、帝室博物館のコンペに落選して(当選案が今の上野の国立博物館)、その落選案をジャーナリズムに堂々と発表して、負ければ賊軍と居直って、コンペに異議申し立てをした事件があったが(といっても建築界のコップの中の嵐だったが)、あれ以来である。
 今、伊東豊雄は、その先輩をなぞっているんだろうが、それでもエライ。

 と思って聞いていたら、どうも、そうじゃなくて、昨日の改修案は主催者側の中沢新一に頼まれて、新たに作ったというのである。
 え、違うの? じゃあ落選案は今の当選案のようなものだったのか。いや、もちろんデザインというか姿は違うだろう。

 しかしコンペ条件からして、高さは70mもあって、巨額工事費と巨額管理費がかかるって応募案だったろう。つまり、シンポ主催者の異議申し立て対象となる。
 もしも伊東応募案が当選していたら、昨日は「被告」の立場で登壇しただろうか。
 なんだか奇妙なのである。

 中沢新一が伊東に改修案づくりを頼んだという。伊東は「悪口を言われてもかまわない、応募したからこそ条件をよく知っているから改修案をつくることができる」という。
 そうか、伊東は自主的に考え直して、応募案はよくなかったと反省して、改修案が良いと発表なさったのではないのであったか。じゃあ、応募案はいったいなんだったんだ。

 でも、よく知っているのなら、応募の時にこのコンペ条件はおかしい、とは思わなかったのか。
 つまり、建築家として頼まれれば、あるいはやる気になれば、どんな前提でも何でも設計をやれるのであるらしい。それもなんだか、ものすごいことである。
 そういえば思い出したが、今、ザハ・ハディドの監修のもとに、ザハ・ハディド案をもとに設計作業をしているのは、なんとまあコンペでザハ・ハディドに負けた日本の建築家だそうだ。商売、商売!

 ここで伊東の大学先輩の建築家たちが、あの1945年の敗戦を境にして見せた変わり身の素早さを、彼も見事に受け継いでいる、とまでの悪口を言うほどのレベルではなさそうだ。
 でも、初めに、さすがスゴイ、闘将前川の再来か、と思ったのを見事に裏切られて、悪口のひとつも言いたくなる。

 もうひとつ別のことで気になったことは、改修案は文部科学省でもとっくに久米建築事務所に委託して作っているし、この前の前だったかのシンポジウムで、他の建築家が提案していた様な気がする。 だから事新しい案でもないのだ。
 それらを俎上にあげずに、なんでまた伊東に頼んだのだろうか。これまでの案がよくないから伊東に頼んだのだろうと思って、ネット中継を見ていたのだが、そういうのでもなかった。

 なんだか知らないが、伊東が有名建築家だし、落選建築家だから、このシンポジウムの人寄せパンダをなさったのだろうか。(でもその役は槇文彦さんが自らかって出ておられる)
 わたしは、その異議申したて運動にケチをつけるつもりはないし、反対もしないのだが、この建築家の態度はなんなんだろうかと、妙に気になる。
 という、お許しいただいて、一介の徘徊老人の悪口雑言である。

(追記20140515)思いついたのだが、伊東は審査員の建築家の安藤と内藤をおびき寄せるための餌のつもりかもしれんなあ、う~ん、食いつきそうにないなあ。

 なお、新国立競技場計画に関するわたしの意見は、下記に載せている。
新国立競技場と神宮外苑そして2020五輪運動会についての瓢論・弧乱夢
http://datey.blogspot.jp/p/866-httpdatey.html

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