2013/05/23

777津波被災地再生にも流行らしい太陽光発電メガソーラーって本当にいいものなのかしら

 メガソーラー発電所を野蒜につくるそうだ。こんなニュースは普通は見逃すのだが、たまたま津波で被災した東松島市の野蒜地区のことを書いていたので、目に留まった。
 メガソーラー発電所とは何のことか、よくはわからないが、広い土地に太陽光発電装パネルをいっぱい並べて、大規模な発電をするところらしい。

 野蒜海岸のそばの津波で一切が壊れた公園跡地に、先般、行った時に工事中だったのを見たことを思い出した。
 東松島市が発表した資料を見ると、発電事業に参入した企業がつくって営業するようであり、不毛になった津波被災跡地の活用策として、市が市有地を貸して誘致したのだろう。公園の再建をあきらめたのか。
 ここで発電して電力会社に売るのだろうか。

 その技術的なことやら経営的なことやらはわからないが、この立地が本当に良いのだろうか。
 絵を見ると野蒜海岸に近い松林(復旧するのだろう)の中にあるようだが、ここは津波でやられたところだから、次の津波にもやられるような気がするが、それでも立地するのだろうか。
 まあ、確率的に言って次の大津波は100年先とすれば、メガソーラー発電はそれまでには十分に採算が取れる商売なのだろう。

 どうも福島原発事故以来、いま、ソーラー発電は時流に乗っているらしい。津波がもたらした時代の新しい流れである。そこに発電事業参入企業も目をつけている。
 そしてまた同じ津波による被災地においても、集団移転跡の広大な空き地に、その発電所を誘致して新たな産業を起したいとする復興計画を考える。東松島市だけではなくて、あちこちでその動きがあるらしい。
 発電所はできたとしても、作った電気は電線で他に持っていけばよいのだろうから、それが被災地に他の産業を誘致する種になるのだろうか。

 産業誘致も難しい地理的条件で、人間が住めない広い土地となれば、土地代も安いだろうから、発電新規参入企業もこれをチャンスに被災地への発電所立地を意図するだろう。
 もちろん津波被災地だけではなく、農業地域の農業後継者がいなくなって広がるばかりの耕作放棄地も、目をつけられているようだ。ちょっとまえは、稲を植えるよりも住宅や大型店を植えると儲かると田畑がつぶれていったが、今や植えるものがなくなって発電機を植える時代となった。

 
 ところで、太陽光発電は、発電原資エネルギーが太陽熱なので、エコロジカルともてはやされているが、大規模な太陽光発電所そのものは果たしてエコロジカルなのだろうか。
 ネットでいくつかのメガソーラー発電所なるものの画像を見つけたが、どうも気にかかる。すなおに受け入れられないのである。
 とにかく草も木も生えない広大な土地を必要とするらしい。地表を一面に真っ黒な板で覆いつくしてしまって、これはとても生態的つまりエコロジカルではない。

 なにしろ太陽の光だけが頼りだから、地上に設ける場合は、周りにビルがあるとか、枝葉の繁る樹木や背の高い草とかで、日陰ができるような環境はもってのほからしい。建物の屋根や屋上に設けるのは良いが、建物によって設置が制限される。
 だから広い、真っ平ら、あるいは緩やかな南下がりで、何もない土地でなければならないらしい。
 発電パネルの下から草や木が生えてきては困るので、コンクリートで固めたり、砂利やシートを敷き詰める。
 これでは広大なる荒地であり、まるで砂漠である。

 普通の大規模工場でも敷地周りや構内に緑を配しているし、工場立地法によって発電所は敷地の25%以上緑化義務がある。ところが、このソーラー発電工場は、工場立地法から除外されていて緑化義務がない。よくわからないが、環境アセスメントも必要ないらしい。広大な砂漠をつくってもよいのである。
 そこには従業員はほとんどいないらしいが、ほんとうに何ヘクタールもの広大になってくると、はたしてよいものだろうか。熱風が吹くとか、周辺地区の微気候に影響がでるような気がするが、どうか。野蒜ならば、せっかく松林を復元しても、枯れるかもしれない。
 景観的にも、真っ黒パネルの広がるのは、おぞましい風景である。

 中山間地で耕作放棄地が広がっているから、平地の田畑ばかりか、なだらかな南斜面地の棚田空間も狙われやすいかもしれない。ここがメガソーラー発電所になると、いったいどんな風景になるのだろうか。
 放棄された田園は、それなりに草木が生えてきて緑豊かな自然空間に戻っていくのが、日本の気候風土である。
 それがエコロジーだとか土地の有効利用とかの美名に聞こえる仕業のもとに、一面の鉄とガラスのパネルで真っ黒に覆われてしまって、実質的に砂漠化するといったいどうなるのか。

 海面埋め立て地のような平らなところは好都合だろうから、津波被災移転跡地や売れない工業用地などの海辺立地も多くでるらしいが、津波が来るとどうなるのだろうか。
 津波で破壊されても原発のように核毒を出すことはないが、発電機能は絶えるだろう。電力が絶えること自体が問題だろう。
 そもそも津波や地震で危ない立地に発電所をつくること自体に、根本的な問題があるだろうと思う。

 ネットで見るメガソーラー発電所のメリット・デメリットの記事には、こういう土地利用面や景観面のことは出てこない。いろいろと疑問がある。



 

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