2012/11/03

685衆人環視の駅前歩道で突然に転んでしまってもう歳だなあと思うばかりの秋の夜

 徘徊老人には、今は徘徊に絶好の気持ちの良い秋の夜である。
 今夜は横浜は桜木町駅前あたり、ミーハー好みの美しい海辺の夜景の中を、わたしは能楽見物帰りで気分よく、さっそうと姿勢よく歩いているつもりであった。

 突然、グラッ、つま先がなにかに引っ掛かった、オットットット~、前のめりに上体が崩れ落ちてゆく。
 体勢をカバーしようと、両腕を伸ばして地面につけて支えたが、右手は握っているカメラを保護するべく、手の甲の側をついてしまった。でもそれじゃあグニャリと曲がって支える力にならない。
 脚も当然出ておるはずだが、これがもうまったく機敏でなくて、ヨタヨタと遅いのである。おい、なんだよこの脚は、と思いつつも出てこないのである、ああ、昔と違うなあ。
 なんだかスローモーション撮影実演をしているなあ、と、思えども止まらない。

 そしてドタ~ン、見事に歩道に伏せて転んだ。
 せっかく右手で上向きに支えてたカメラが外れてガチャン、カバンから何か飛び出してガチャン、あ、これは電子辞書だ。
 
 右手がアイテテ、右膝もアイテテ、、。

 道行く人たちが口々に「大丈夫ですか」と言ってくださるが、特に止まって起こして下さるようすもない。
 初心者とはいえわたしは後期高齢者なのだが、あたりはもう暗いし、赤い帽子をかぶり、真っ黒なフリースを着ていて、そうは見えなかったのであろう。ま、ガタイもでかいし、。
 こちらも恥ずかしいから、そそくさと起き上がる。カメラと電子辞書を拾う。

「は~い、ありがとう、大丈夫です、、、タブン、、」と、右手と右ひざの痛さをこらえ、びっこひきつつ強がりを言う。
「ダイジョウブデスカ」って、コーカソイド系のおじさんが言ってくれるので、「サンキュウ、イッツオーケイ、メイビー、」なんて。

 あれはもう15年も前であったか、長崎市中の繁華街で転んだことがある。石で舗装してあるのになぜ転んだか、わずかに舗石に高さの差があったらしく、それにひかっかかった。今回もどうやらそうらしい。
 どうも歳とると歩くときに足を上げないで、地面を擦るように歩いているらしいのだ。だから1ミリの突起でもひっかっかる。
 引っかかって前によろけたら、脚が姿勢をカバーして身体よりも前に出るはずだが、もうこれがてんで出なくなってるんですねえ、ナサケナイ。

 これはちょっと休むほうがよいなと、まことに都合のよい理由ができたので飲み屋に入った。
 右手がちょっとおかしい。コップ酒をついつい左手で握る。箸を持って肴をつまむところまでは何とかよいが、口に運ぼうと曲げるのが苦しい。
 家に帰って風呂に入るとき、右ひざ小僧を見たら、ズボンは何ともないのに、まるで小学生が転んだように、擦り傷であった。これは長崎でもそうだったが、なんだか懐かしい傷ぶりである。

 この文章は、まあ普通に両手の指で打っている。
 さて、明日の朝は忘れているだろうか。

(追記2012.11.06)
 たいしていたくもないが、どうもある方向は力は入らないし、曲げにくいし、ちょっと腫れている感じもあるので、今朝、近くの整形外科に行った。
 X線写真を撮ったのをみて医師が言う。骨が折れてはいないが、ひびが入っている可能性がある、特に手首の一部を押すと痛いのはその証拠だ。
 で、そのままだと痛みが2,3カ月続くから、ギブスで固定する。ただし、右手なのでそのままだと不自由なので、取り外し型にして、ギブスがあると困るとき、たとえば飯、風呂では外すのだ。
 ギブスを肯定するための包帯を巻くと、右手が重傷に見える。

参照→
http://datey.blogspot.jp/2012/11/690.html


 

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