2012/08/24

660横浜港景観事件(12)どこが変更になったかわからぬ神技デザインでGOサインの結婚式場

 横浜みなとみらい21地区の新港地区でもめていた(?)結婚式場計画のデザインが、ようやく決定したと、横浜市から発表があった。
 事業者と協議した結果、都市美審議会でNOといわれたデザインをYESといってもらえる(?)デザインに変更したのだそうである。
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八五郎 あ、ご隠居、まだまだ暑くってしょうがありませんね。
ご隠居 八っつぁんでも、やっぱり暑いかい。
 あたり前でしょ。ところでご隠居が見ているその絵はなんです、まさかご隠居がディズニーランドに行こうってんじゃあないでしょうね。
 これは違うよ、結婚式場だよ、横浜の港近くにできるそうだよ。
 では、お孫さんの結婚式ですかい、そんな立派なところでやるんですかい、おめでとうございます。
 そうじゃないんだよ、ある企業がこういう結婚式場を建てたいって、市の審議会に出したら、恰好が悪いって突き返されたんだよ。
 ああ、例の新聞にもでてた話題になったやつですね。へえ、恰好が悪いってだけでNOなんですか、そりゃすごいね、あんまり醜男じゃあ外も歩けないってか。でも、どこが格好悪いんですか。お姫様がいそうな西洋の宮殿だし、観覧車もあるし、なんだかディズニーランドみたいで楽しそうなのになあ、こういう建物で結婚式やりたってい人は多そうですよ。
 だから庶民には困ったもんだよ、あのね、こういうデザインは西洋様式ごったまぜ、テーマパークみたいでけしからんて、審議会の大学の先生たちから叱られてるんだよ。偉い建築家の先生も、商業主義で怪しからんと言っておられる。
 へええ、あたしゃテーマパーク大好きですよ、ご隠居のお孫さんたちも大好きでしょ、結婚式場って商売だから商業主義でしょ、なにがいけないんですか。
 いや、まあ、その、、なんだな、早く言えば、デザインがドヘタってことかな。
 そう言ってくれりゃ、ちっとはわかる気がするけど、それでもどこが下手なんですか。
 どこがって、、、そう、全部下手なんだな。
 それじゃあわかりませんよ。庶民のあっしたちは、こういうの大好きなんだがなあ、いけませんか。
 ああ、いけないね。で、先生たちにNO!いけないって言われたんで、横浜市と事業者とであれこれ協議して、デザインを直したのがこちらの絵だな、これでOKとなったらしい。
 へええ、この絵ですかい、で、さっきのとどこが違うんですか。な~んにも違わないような、、、ちゃんと観覧車は立ってるし、、、あ、ちょっと色が薄いかなあ、あたしゃ白内障で目が悪いので、そのせいですかねえ。
 う~ん、ま、八っつあんのいう程度の違いだな。正直なところほとんど同じだよなあ、どこが違うのかねえ。あ、ここに書いてあるよ。

●変更された外観デザインの概要
 変更協議では、建物のデザインコンセプトを見直した上で、外観デザインを修整したものが提案されました。
(1) 建物のデザインコンセプト
新港地区の建物群との調和を図るため、フレンチデザインを現代風にアレンジ。
(2) 主な変更箇所
ア 壁や屋根にガラスやメタル素材を採用してモダンな設えに変更し、開放性を高めるとともに、個性や風格を醸成した。
イ 建物全体の色調を淡く調整し、赤レンガ倉庫を引き立たせる色調とした。
ウ 低層部・中高層部で色調を変え、建物の圧迫感を低減させた。
エ 建物外周に設置を予定していたフェンスを取りやめ、開放感のある設えとした。
オ 夜間照明は低層部を中心とし、水面への映り込みを意識した魅力ある夜間景観を演出した。(横浜市の記者発表より)

 おお、前の案はハレンチデザインだったとはねえ。
隠 フレンチだよ。
八 え、あそうか、でも、なんでしょそれ、フレンチカンカンとかフレンチドレッシングなら知ってますけどね、あ、フレンチキスってのも、、、イヒヒ、なんかエロっぽいデザインだったりして。
 ばかだね、でも、なんだろうねえ、ちかごろ流行してるのかねえ。ほら、住宅展示場でみるちゃらちゃらしたデザインらしいよ。
 で、こうなるとハレンチデザインじゃなくなるんですかあ、へ~、どこが違うんだろ、形はほとんど同じでも、色を薄くしてガラスやメタルを使えば、ハレンチが抜けてモダンに変わるんだ、ふ~ん、こりゃ神技か手品ですね、建築家ってのはえれえもんだね、あっしにゃ何のことかわからんけど。
 濃い色だったのを淡い色にして、赤レンガ倉庫を引き立てるそうだよ。
 へえ~、でもね、これと赤レンガ倉庫とを一緒に見るのは、相当に難しい位置関係ですよ、なんで引き立て役になるんすかねえ。それじゃあ、ワールドポーターズやカップヌードルミュージアム、JICAなんかの真っ赤な建物は、赤レンガ倉庫の引き倒し役で邪魔をしてるんですかい、その審議会の先生とやらは、それらにイチャモンつけなくっちゃ。
 あ、いや、その、、、。ま、審議会の偉い先生はこうおっしゃてるよ。

都市美対策審議会(景観審査部会)の卯月盛夫部会長(早稲田大学教授)からは、「市・事業者双方が我々の意見を真摯に受け止め、この4ヶ月間努力して頂いた結果、デザインが大幅に修整されたことについては、十分とはいえないが、一定の評価をしなければいけない。ただ一方で、事前協議の進め方などには大きな課題が残ったので、今後このようなことが起きないように、制度の見直しなどについても早急に議論をし、改善を図っていきたい。」 とのコメントを頂いています。(横浜市の記者発表より)

 この「一定の評価」ってのは、どういう意味なんですかねえ。「評価」だけじゃあ上も下もないから「一定の」をつけてるんでしょうが、一定の方向は上なんですか下なんですか。
 あ、う~ん、そうだなあ、う~ん、「十分とは言えないが」とか、「大きな課題が残ったので」とかおっしゃっているので、これはやっぱり下のほうに向かって一定の評価をなさったと読むのだな、たぶん。
 それじゃあ、マイナス100点がマイナス70点かになっただけで、ちっともYESじゃないような気がしますよ。
 今日のお前は相当に理屈っぽいね。わかったよ、よくないけど、しょうがない、これからはちゃんとやれ、先生はそうおっしゃってるんだろうなあ、、、たぶん、、、。
 しょうがないで済むなら、審議会はいらないでしょ。そもそもなんでよくないのか、きちんと審議会が言うべきですよ、あっしにもわかるようにね。
 そうだけどね、デザインてものは感覚に訴えるのだから、どこがどう悪いと論理的には言えないものだよ。
 それじゃあデザインを偉い先生たちが集まって審議して決めるっていうのもおかしいですね。感覚的なことを合議で決めるって、とてもじゃないけど無理というか、おかしいでしょ。
 わかったわかった、もう暑いから西瓜でも食おう。ミカンもあるよ。
 おっ、逃げましたね、いいでしょ、そうしましょ、そうしましょ、スイカとミカンいいですねえ、、
   ♪酸いか甘いかこの美観(みかん)、、っと。

(このシリーズは、もうやめようと思ったら市からGOサインの発表があったので、ついつい続きを書く羽目になった、面白いので、続きをまたそのうちに書かねばなるまい)

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