2010/06/11

274【世相戯評】牛豚の口蹄疫なる病気問題はまるで人間にも起きそうな恐怖のSF世界

 ある都市で突然に新種の流行病で、住民が次々に死に出す。特に過密なスラム街での流行がすごい。
 対応する治療方法も薬も開発されていないので、対策はただひとつ、発生地域を閉鎖して封じ込め、その中で消滅させる作戦しかない。

 あらゆる交通出入りを遮断する。その都市を封鎖する。食糧や医薬品を空輸して空中から投下する。
 住民はパニックになって逃げ出そうとするが、政府は軍隊を使って厳重に囲い込む。
 そのようななかで噂が流れる。ある種のエリートの人々だけには、密かに脱出して避難する作戦がされているらしいと。不公平だと、抗議の声がごうごうと起る。

 そうやって、発生都市ではむごい死体処理作戦が進んで1か月、ようやくに沈静化する様子が見えてきた。
 ところが、遥かはなれた都市でまた発生する。その犠牲と努力もむなしく、どうやら虫や鳥がその病原菌を運ぶらしく、飛び火のように発生した。また、同じ作戦である。
 そうこうしているうちに、避難させたエリートが発病し、、、。
 こんなSFF小説なんて、多分、もう書いたものがあるに違いない。
    ◆
 今、宮崎県で猛威を振るう牛や豚の病の口蹄疫事件は、現場から遠くにいるわたしには、申し訳ないがどこかSF小説の世界のようにも思える。
 あの大きな生き物を何万頭も短期間に殺す人間は、牛豚にとっては口蹄疫ウイルスよりもはるかに怖い存在であろう。

 鯨を殺すと怒る西欧系の人たちは、こんな大量に動物殺戮をする東洋人をどう思っているのだろうか。牛や豚ならオレたちも殺しているからって、抗議に来ないのかしら。
 どうして突然に大量殺戮することになるのだろうか。それは多分、肉牛・肉豚類の飼育の場は食糧原材料の生産工場という効率をもとめて、動物として生きるには超過密な環境なのだろう。
 1頭でも罹病するとぱっと蔓延するのだろう。広い牧場のあちこちに散在して草を食っていれば、こうはならないのだろうと推測する。生物多様性の反対の極にあるのだ。

 このことは前に養鶏場の鶏が鳥ウィルスにやられたときに、まさに過密飼育によって大量罹病大量処分が起きた。それに何も学ばなかったのか、それとも鶏と牛豚とは状況が異なるのかしら。
 口蹄疫が起きた地域を閉鎖する策が出されている。

 第2次大戦争が終わった直後のことだが、ベルリン封鎖という大事件があったことを思いだす。
 また、中世にペストが大流行したとき、人間の世界でもこんなことが起きたのかしら、と連想すると怖くなる。

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