2008/07/16

018【東京駅復原反対】丸の内は時代と共に景観がどんどん変わるところに特徴がある

 この写真は1987年にわたしが撮った東京は丸の内の風景である。手前に新幹線から東京駅ホームの屋根、その向こうに赤レンガの「東京駅丸の内駅舎」の台形屋根が3つ並ぶ。これは後3年したら、両脇のふたつが台形から丸になる予定である。

 その向こうにある真っ白い「新丸ビル」、その左のちょっと日陰っぽいのが「丸ビル」で、今はどちらも超高層建築に建替えられた。
 新丸ビルの向こうの赤い超高層ビルが「東京海上ビル」で、これしか超高層が見えない。1974年に丸の内で始めての超高層ビルとして建ったが、丸の内ではこの高さ100mを限度としようという暗黙の了解ができて、次々と超高層ビルに建替えられてきた。その100m暗黙了解は、2006年の丸ビルの改築で破られて、今では200mの時代である。

 新丸ビルの右に小さい茶色のビルが見えるが、「日本工業倶楽部」でこれも隣と一緒に建替えて超高層となったし、その右の元国鉄本社も「丸の内オアゾ」って奇妙な名前の超高層になってしまった。

 というわけで今ではこの角度で見ると、超高層ビルの立ち並ぶ棒で作った壁であるはずだ。この写真を撮った大丸がなくなり、今は昔と違って勝手にビルに入れない時代になったから、いまやどうやって撮るか思案中である。

 さて、丸ビルの左隣に陰になっている横幅のある低いビルが「東京中央郵便局」である。東京駅が改築復原に入ったから、今でも戦前からの形のままであるのはこのビルだけになってしまった。
 ところがこのビルも、郵政民営化で郵政会社が不動産経営に精を出すとて、6月に超高層建築に建替える案を発表した。

 ところがこのビルは、建築家にとっては結構大事な歴史的名建築なので保存してほしいのだが、普通の人がみてもなんの変哲もないビルであるから、東京駅のようには市民から保存運動が起こりにくい。
 それでも郵政会社の開発案の絵には、今のビルの表の形はそのままに継承して、上部に超高層ビルを乗せる形になっている。
 それでこの歴史駅名建築の保全になるのかどうか、建築家たちは論議している。 重要文化財に国が指定せよという運動も起きている。

 さて、東京駅のようにそっくりそのままに保全できるか、それとも今の形を腰巻にする銀行協会ビル形式となるか、どちらにしてお金のこと、景観のこと、文化のこと、都市計画のことなど、問題はあれこれといっぱいある。

 ところで、日本郵政株式会社が発表した中央郵便局の改築計画の絵をみていて、妙なことに思いいたった。
 低層下部には今の郵便局がそのままあって、その上にガラス張りの超高層建築が乗っている格好なのだが、そのガラス面がまるで折り紙飛行機が上から突き刺さった形なのである。
 これは9・11のパロディにちがいない! え、ヘルムート・ヤーンさん、、、。

→参照「東京中央郵便局の保存について考える」 


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