2015/07/15

1107【新国競騒ぎ】カネメの話になってようやく庶民にもわかる論議になった新国立競技場騒ぎ

 
シンコクリツ「新国立」というと、オペラをやる新国立劇場のことなのに、近ごろは新国立競技場のことらしい(新国競でしょ)。
 で、その新国競だが、なんだかシンコクな話になりかけているらしい。

 なんでも、工事費がもとは1300億円の予定が、今ようやく工事に取り掛かろうとしたら、これが2500億円とも3000億円とも、大超過になってきたのだそうだ。
 1000兆円借金日本国の国立の施設に、そんな金を投じてよいのか、予定と実際とが違いすぎる、杜撰な計画だ、税金の無駄使いだ、というのだ。
 
 この新国立競技場が巷で評判になり出したのは、一昨年の夏、建築家の槇文彦が決め方やデザイン異を唱えたころからである。その前の2012年11月のコンペによって決まってから、もう9カ月もたっていた頃だ。だれも言わないから老大家自らの出馬である。

 はじめは建築界だけの内輪話みたいだったのが、だんだんと異論が広がっていった。
 その異論の中心は、明治神宮外苑の明治天皇の事績を顕彰する絵画館に似合わないという、分りやすいようでいて、どこか趣味的でもあり、なんとなく高踏的な感もある。
 オリピック好きの庶民には、どうでもよい論争である。

 こういう景観についての話となると、どうもそれは主観の違いでしょなんて、のれんに腕押し論に対応するには、なかなかに難しい。
 だから誰にでもわかる数値に置き換えての景観論争になる。そう、それは高さ論争である。
 この新国立競技場でも、建築物高さ20mの都市計画規制を越えて、72mにすることが異論の焦点となった。

 かつて東京丸の内や京都盆地でおきた景観論争でも、31m規制を超えることの建築物高さ論争になった。それまで都市計画に定めた高さを、今になって超えるのがけしからんということ。
 高さという数値に景観を置き換えると、誰にも分りやすいのだが、景観の本質的な問題を逸れてしまう話になっていることを忘れる。
 特に丸の内では、今の姿をみると、あの論争はいったいなんだったのか。これも、実はでだしが皇居を見下ろすのがけしからん論からはじまったのが、なんとなく今度の事件に似ている。

 さて、新国立競技場も、その都市デザインとして景観が、72mという数値に対する異論だけではひろがりを見せないでいるところに、強力な助っ人の数値が登場してきた。
 それが工事費である。1300億が3000億になった、ケシカランってのは、景観と違って庶民に分りやすい異論だ。
 いや、庶民にはそのイッセンオクエンなんて金銭には、何の実感もわきっこないのだが、予定の工事費から倍以上にもなる、しかもそれがコクリツなんだから、オレが払っている税金だってことは分る。いや、まあ、僅かな納税額だけどね。

 それでも文科省当局や五輪組森喜郎親分は、2020東京オリンピックのレガシーをつくるんだから、それくらい我慢せよ、みたいなことらしい。安倍政権は軍隊だって海外に派遣できるくらいに、なんでもできるんだから、
 でも、庶民が騒ぐと、次の選挙の票に響くかもしれない国会与党のギインさんたち、これはまずいような気がすると、言い出している気配が出てきた。 

 「オリピックのレガシーをつくる」なんて、あの「日本は神の国です」といって嗤われて、総理大臣を辞めた森親分の口から出るのが、なんだか似合わなくて、オカシイ。
 むかしむかし、1964年の東京オリピックの、いちばんのレガシー建築はなんだろうか。
 それはもう、なんといっても代々木の体育館だろう。そう、丹下健三設計になる、あのサーカステント小屋である。

 あれも工事費がむちゃくちゃにオーバー、大蔵省がNOと言って、一時頓挫、そこで丹下が政治力を発揮して、田中角栄に直談判してヨッシャヨッシャと見事に予算増額成功、ということがあったんだという話をなにかで読んだことがある。
 今度は安藤忠雄がアベかアソオに掛けあうかな?

 そう、あのころは、今にみたいに情報が流通しない時代だったから、世間もマスメディアもなんにも騒がなかった。
 今の新国立競技場なみの事件だったのだが、建築界だけがすごい設計だと騒いでいただけ。
 
 そういえば設計者も、東大の岸田・高山両親分が、これは誰に、それは彼にと、適宜に決めて配分、コンペなんて無かったなあ。
 あの代々木の体育館だが、実はあの軽業みたいな格好の屋根をもたせるには、修理維持費がものすごくかかる代物らしい。

 さて新国競では、高さが20mを越えて72mになり、工事費が1300億円を超えて3000億円、この二つ数字が出てきて、ネットメディアもある時代には、庶民にも分りやすくなった。
 その一方で、都市景観の問題はどこかに押しやられつつある。まあ、庶民には景観がどうなろうと、食うに困ることはない。

 でもなあ、ちょうどいまギリシャが借金2000億円を返せないことから今の騒ぎになっていることから考えると、1000兆円借金国日本だって、たかが遊びの施設に税金3000億円投入となると、これからは分らんぞってことが、庶民にもウスウスとは分る。
 あ、思い出した、福島のことでだれだったか、「最後はカネメでしょ」っていって、叩かれたギインさんがいたなあ。そう、庶民はしょせんカネメである。

参照
◆【五輪騒動】新国立競技場建設と神宮外苑再開発瓢論集
http://datey.blogspot.jp/p/866-httpdatey.html

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