2012/09/19

667白内障手術決行譚(その5)病院に手術入院するって面白くも奇妙な体験であった

●入院治療は契約書は結ばないらしい
 白内障治療で、右目と左目を間に5日おいて、2泊3日の入院を2度やった。
 これまでの入院経験は1度だけ、鎌倉で30年ほども前(1週間ほど足を引っ張ってただ寝ているだけ)だった。だからこれで3度の入院経験となる。

 このたびの入院にあたって、「入院誓約書」なるものを出させられた。
 入院するに当たっては病院の規則を守り、身元引受人はきちんと責任を果たしますので、入院治療をお願いします、てなものである。30年前の入院では、こんなものを出した覚えがない。
 この誓約書は、なんだか一方的な感じがするのである。

 病院だろうと商店だろうと、民法上の契約行為だから、これほど高額でありしかも身体にメスを入れる重要な取引なのだから、患者と病院の双方がハンコを押した契約書を作るのが当たり前のような気がする。
 それが、患者側だけが誓約書をだすというのは、片務契約である。それなら病院側も、患者に対して、責任もって治療いたしますという誓約書を出してもらいたいものである。
 これっておかしい考えなのだろうか。

 もう一つの書類は「手術または検査説明書・同意書」である。一枚の紙の上半分に治療方法等の説明書と医師と看護師のサイン、下半分がその説明を受けて納得したので手術をしてほしいという同意書で患者と家族のサインである。
 まあ、これは医師と患者の両方がサインしているから、それなりに納得できる。

●アメニティセットなるタオル等リース
 もう一つサインして出した書類は「アメニティセット申込書兼同意書」である。これは病院宛ではなくて、入院中につかうパジャマ・タオル・歯磨きセットなどのリース会社に出すのである。
 これらを患者が各自持ち込んではいけない、リース会社から借りなければならないというのである。外部からの黴菌の入ってくるのを防ぐためらしい。でもねえ、かばんも靴も肌着も上着、ノート、デジタル録音機など持ち込んでるんですがねえ。

 同意書と書いてあるが、何も同意するべき文章は書いてなくて、要するにリースの申込書である。
 こちらから申し込んでいるのに、リース会社側の請書がないのである。この書類は不備である。
 病室にはこのリースらしいタオルが2本、バスタオル2本、歯磨きセットがおいてあった。2回とも使ったのはタオル1本と歯磨きセットだけだった。これは別請求なので保険対象ではないらしい。

 手術の日は750円、そのほかの日は480円、6日間の合計で3420円。リース料としてはけっこう高い。
 手術の日が高いのは、手術用のパジャマと紙パンツを使ったからだろうが、請求書には明細がない。
 同意書といい請求書といい、病院並みの一方的な感じである。

 どうも解せないのは、パジャマや手術着は入院の必需品なのに、保険がきかないことである。だったら布団は枕はどうなってるんだろうか、ベッドはどうなんだよ。
 食事だって保険がきかないってのもわからない。不味いから要らないといったのに、無理に食べさせられたのだぞ、どうしてくれる。

●実はマニュアル的でない看護
 左右の目が違うだけでまったく同じ治療の入院を、2週連続して行ったが、入院した部屋は別の階であった。
 ひとつビルの中だから棟はわかれていないのだが、右目が2階病棟、左目が4階病棟と名付けられているのは、昔の病院の習慣がそのままなのであろう。

 ところが、どうやらその病棟ごとに看護の仕方が違うらしいのである。
 2回目の左目入院の最初には看護師からいろいろと聞かれて、4ページものアンケート記入をさせられたが、最初の右目のときはそんなものはなかった。
 手術室に入る前に、右目の時はパジャマもパンツも病院のものに着替えさせられたが、左目の時は上だけ着替えて下半身はそのままままでよいとのことだった。

 手術室前の氏名と手術場所の点呼も、右目では2回、左目では1回だった。
 ほかにも血圧を測りに来る回数とか、薬の服用や点眼の指導とか、いろいろ異なることがあって、困るほどのことではないが、それが面白かった。
 病院というところは完全にマニュアル化しているのかと思ったら、意外にそうではなくて、病棟ごとに看護方法に差があるのだった。同じ病院で書類まで違いがあるのが面白い。

●相部屋の病室はプライバシーゼロ
 入院の部屋は部屋代がいらない6人部屋に入った。カーテン一枚で仕切る2m角ほどのの仕切りである。
 当然のことながら音は筒抜け、看護師がいるときはカーテン半分あけているから視覚的にも見え見えであるが、それを承知で入ったから仕方がない。
 ここに1か月もいるとなると我慢できにくいが、たかが2泊3日だからかまわない。実は30年ほど前の入院も6人部屋であった。このときの経験が面白かったので、値段のこともあるが、積極的に今回も相部屋を選んだ。

 面白かったとは、プライバシーゼロの状態で1週間いたら、他の入院患者のプライバシーがほとんど全部見えて、このような人たちがいるのだなあと、ずいぶん人生経験をしたことであった。
 看護師はもちろん、家族や見舞い人が来てあれこれ話していることが、筒抜けで聞こえてしまうのだから仕方がないのだが、その人の病気も生活もわかってしまう。
 小説家に入院経験がある人が多いのは、こういうところでネタを仕入れていたのだろうと思ったのであった。

 今回は2晩づつだったが、糖尿病らしい若者、尿が出なくて苦しむらしい中年男、血圧測定マニアらしい老人が、耳に入った。
 こちらの目の手術のことや、飯が不味いとクレームつけているのも聞こえていたに違いない。

 そんなことは面白がっていればよいのだが、ある真夜中に急患が隣に入ってきて、明かりを煌々とつけて、どたどたがやがや、すっかり目を覚まされてしまったのには、さすがに面白がってはいられなかった。
 でも、いくら部屋代が安いといっても、本当にこんなにもプライバシーがなくてよいのだろうか。

参照→白内障手術一部始終日記201209
https://sites.google.com/site/dandysworldg/hakunaisyo?pli=1

666白内障手術決行譚(その4)当て外れやっぱり眼鏡が要る
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665白内障手術決行譚(その3)ボケたら脳みそも取り替える時代が
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663白内障手術決行譚(その2)若返った右目で見る風景の軽薄さ
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662白内障手術決行譚(その1)明日から左右両目のレンズ埋設工事
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