2012/09/02

662白内障手術決行譚(その1)明日から左右両目のレンズ埋設工事月間が始まる

八五郎 おや、ご隠居、なんだかウキウキしてますね。
ご隠居 おお、八っぁん、そうなんだよ、明日から2泊3日おでかけなんだよ。
 旅行ですかい、どちらへ。
 病院に入院するんだよ、大手術するんだねえ、おまえのその顔も今日で見納めだね。
 えっ、なんです、その言い方は尋常じゃないけど、どこが悪いんです、なんでウキウキしているんです、ヘンですよ。
 いやね、白内障の治療だよ。
 なんだ、それなら知ってますよ、目が悪いと言ってた叔母がやったから。 今じゃあ珍しくない治療だそうですよ、脅かしっこなしですよ。目ン球を取り替えるんでしょ。
 乱暴だね、そうじゃなくて眼球の中の水晶体にプラスチックのレンズを入れるんだな。わたしは初めての手術体験だから、わくわくしていて海外旅行の前の晩の気分だな。

 大げさな。あ、そうそう、その叔母が言うには、それで景色がそれまでとは全く違ってきれいに見えるようになったそうですよ。ご隠居もそうなると思ってウキウキしてるんですね。
 そうなんだよ、だからおまえのその顔も見納めなんだな。わたしは眼鏡で今も普通に見えることは見えるんだが、この数年は明るいところではまぶしくてね、夏は黒メガネなしではいられないんだよ。
 そうそう、ご隠居は夏は風体が悪いですよ。
 ほっといてくれ。先だって同年の友人がその手術をしたというので、聞いてみると同じようにまぶしかったそうだよ。で、わたしも病院に行って診断してもらったら、両目ともに水晶体レンズが濁っている、濁りが光を乱反射してまぶしいのだそうだよ。 これはもう立派な白内障だとご宣託をいただいた、えへん。

 威張ることじゃないでしょ。で、ほっといたらどうなるんです。
 歳とると誰でも起こることらしいが、ほっとくと進んでいくばかり、歳とりすぎると水晶体の中の水が固まって取り換えが面倒になるとか、手術も難しいことがあるかもしれないそうだよ。
 そうそう、知り合いの母親が90歳で手術したら、水晶体を支える機能が衰えていて失明したそうですよ。
 だから今、後期高齢者になったばかりのわたしは思い切って、そのレンズ埋設工事を決行することにしたんだね。
 えらいもんだね、好奇心をもつ年寄りの好例で好奇好例者ですね。

 おお、座布団一枚。面白いことにね、友人は左目だけ手術したそうだよ。だから右目つぶってみる風景と、左つぶって見る風景とは色が違うんだそうだよ。
 それじゃあ同じ絵をひとりで2度鑑賞できるってことですか。同じものなのにこちらの目の都合で違うものに見えるってことは、、、へえ~、実はこの世は誰もが同じ景色みてるんじゃないんですねえ、う~ん。
 考え込んだね、そうなんだな、お前の見てる景色とわたしの見ている景色は、実は全然違う色かもしれないね。
 ちょっと怖いような気もしますね。
 わたしは両目手術するから、もう別の景色を見る人間に生まれ変わるんだよ、この歳で生まれ変わるなんて、ウキウキするのも当たり前だろ。

 どこかピントがはずれてる気もするけど、まあいいや。ご隠居が今日見ている景色を、手術後にはもう見ることができないんでしょ、今のうちに写真とっておいたらどうです。
 そうしようかね、あ、なに言ってんだい、違うよ、カメラはわたしの目とは関係なく写すよ。お前こそピントはずれだな。
 あ、そういやそうですね。で、いつお帰りですか。
 明日は右目で2泊3日、一時帰宅して5日後に再入院、今度は左目だな。
 なんにしても、お大事に。手術成功、景色が大変化というお土産を待ってます。
 ああ、そうなるといいねえ、でも心配なのはね、お前の汚い顔がますますはっきり汚く見えるようになることだよ。
 ほっといてくださいよ。
(図は手術する西横浜国際総合病院がくれたパンフレットの一部)

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●白内障手術一部始終日記201209
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