2012/05/24

624横浜港景観事件(5)ラブホは愛の空間、結婚式場は愛に満ちあふれた幸福の時間

これから人口は全体に減るし、生まれてくる子もすくなくなるし、結婚産業市場は狭まるばかりだろう。
 結婚式場事業者は、結婚式だけじゃなくて婚約式とか再婚式とか金婚式、そうだ離婚式もあるな、まあ、いろいろ頭をひねるだろう。
 死ぬほうはもう増える一方だから、葬儀場兼用にして結婚式と葬式が隣り合わせにやる時代が来るかもしれない。なに、人生一続きだから、それでよいのである。

 そんな世になるまえに、市場を寡占した事業者が勝ちである。そこで施設は巨大にして、目を見張るようなもので勝負に出たのが、多分、この結婚式場であろう。目を見張るといっても、しげしげと建築的な目で眺めないほうがよいと思う。
 市場の先行きは見えているから、遅くとも30年先には消える施設として、土地建物は30年の定期借地方式によるらしい。
 事業者はちゃんと先を見ている。結婚のほうも30年も続かない時代が来ると。
 それにしても、その激戦地区を勝ち抜くための建築デザインが、どうしてキリスト教会風でギリシャローマ神殿風の欧風建築なのだろうか。

 もっとも、この事業者のプレスリリースには「邸宅型結婚式場」と書いてある。
 邸宅とは英語で言えばmancionなのだが、「マンション型」と書けないのは、日本のマンションは誤訳されてウサギ小屋のことであるからだ。
 アメリカ合州国大統領のいるホワイトハウスが本来のマンションなのだから、多分、この事業者もそれを思い描いているかもしれない。
 そう思えばそう見えなくもないが、でもやっぱり、ギリシャかローマかの神殿に南欧風キリスト教会建築がくっついたようにしか見えない(すくなくとも最初の透視図はこう見えるのだが、、)。

 こういうあれこれ取り混ぜた建築は、珍しいことではない。江戸時代の遊郭建築がそうだったし、明治開国期に日本の大工がつくった擬洋風建築もそうである。
 そこでラブホが登場してくるのである。この類のキッチュデザインで、しかも愛と言うか幸せの空間作りの先駆者は、ラブホテルあるいはファッションホテルあるいはレジャーホテル、あるいは「逆さくらげ」「連れ込み旅館」ってこりゃ古いか、まあそういうものである。
 この話は井上章一「愛の空間」とか、それを下敷きにした金益見「ラブホテル進化論」とかにあれこれ書いているし、わたしは実態はよく知らないからこれ以上は書かない。

 五十嵐太郎の「結婚式教会の誕生」にも、結婚式場とラブホ建築の似通っていることを指摘している。
 まあ、ラブホテルが「愛の空間」(井上章一)ならば、「愛に満ちあふれた幸福の時間」(アニヴェルセルconceptより)だから、似ているのはあたりまえ。
 横浜ご近所探検隊が探索した横浜都心関外にあるラブホテルの写真を掲げておく。このまえにあげた結婚式場建築と同じボキャブラリーが登場し、なんだかよく似ているような気もする。とくとご覧あれ。
  なお、これらが風営法にいう店舗型性風俗特殊営業該当施設かどうか、わたしは知らない。表から見た感じだけである。
つづく・・・なんだかいつまでもだらだらと書けそうだなあ)




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