2011/06/26

437原発事故と復興構想

 東日本大震災復興構想会議から「復興への提言」が出されたので、インタネットサイトでぱらぱらと議事録と資料を読んでみた。
 それぞれのご専門のかたがたの話があるが、なんとも評価しようがないのは、こちらにその能力がないからである。

 興味があるのは、どのお方も苦手であろうと思われる原発事故と復興について、どう述べておられるのかであった。
 だが、案の定、発言は少ないし、ナントカしなけりゃとは言っても、どうするかについては、どなたも歯に物が挟まるのは、仕方ないことである。

 提言の中の第3章が、原発災害の話である。その出だしのところがブンガクテキで、前半の悲観的な口調と、一転して楽観する後半との落差、ちょっとわざとらしいノーテンキさに引っかかる。
ーーーその部分を引用するーーーー

「復興への提言~悲惨のなかの希望~」平成23年6月25日東日本大震災復興構想会議
第3章 原子力災害からの復興に向けて
(1)序
 原子力災害の大きさと広がりには、底知れぬ恐怖がある。
 そして人々は、「戦後」を刻印したヒロシマ、ナガサキの原爆と、「災後」を刻印しつつあるフクシマの原発とを一本の歴史の軸の上に、あたかもフラッシュバックされる映像のように思い浮かべる。
 今回の地震と津波被害を起こりえないものとして、考慮の外に追いやっていたのと同様の思考のあり方が、ここにも見出せる。
 いや、人々は原子力については、ことさら「安全」神話を聞かされるなかで、疑う声もかき消されがちであった。
 原発事故を起こりえないものとした考え方は、その意味では、地震や津波災害の場合よりも、何か外の力が加わることによっていっそう閉ざされた構造になっていたのだ。
 今、人々は進行中で収束をとげぬ原発事故に、どう対処すべきか、思いあぐねている。
 今回の地震と津波の災害に対し、「減災」という対応方式が直ちに認知されたことと、それは対照的と言わざるをえない。
 ある型に回収されるような事態ではないからだ。パンドラの箱があいた時に、人類の上にありとあらゆる不幸が訪れたのと類似の事態が、思い浮かぶ。
 しかし、パンドラの箱には、たったひとつ誤ってしまわれていたものがあった。
 それは何か。「希望」であった。
 それから人類はあらゆる不幸の只中にあって、この「希望」を寄りどころにして、苦しい日々をたえた。
 「希望」―それは原発事故に遭遇したフクシマの人々には、まだ及びもつかぬ、とんでもない言葉かもしれぬ。
 しかしここでもまた人と人を「つなぐ」意味が出てくる。原発事故の被災地のなかに「希望」を見出し、あるいは「希望」をつかむことは、被災地内外の人と人を「つなぐ」糧となりうる。
 いや人は人とつながることによってこそ、「希望」の光のなかに、明日のフクシマを生きることになろう。
 だから、フクシマの復興は、「希望」を抱く人々の心のなかに、すでに芽吹き始めているに違いない。
ーーー引用ここまでーーー

 委員の発言の中で、興味深く読んだのは、民俗学者の赤坂さんの発言である。
「東北なるもの」はこうであったかと、東北地方に疎いわたしには分ったし、「原発なるもの」がもたらす東北地方の展望も興味深いものである。
●参照→「鎮魂と再生のために――復興構想会議2011,4,30 発表メモ」赤坂 憲雄
http://www.cas.go.jp/jp/fukkou/pdf/kousou3/akasaka.pdf

 西郷真理子さんは、都市計画家の肩書きで委員となっている。
 他の委員たちが職能ではなくて大学とかの職場の肩書きであって、エライセンセイらしいが、なにをする人か全然分らないのと比べて、この態度に好感をもった。
 税金つかってカイギする人なのに、それが何者か分らないのは、納税者はカイギにカイギ的になってしまう。
 安藤忠雄さんは、建築家と並べて東大名誉教授と肩書きにあるのが、気に入らない。
 なんで建築家だけじゃいけないのか、名誉教授なんて肩書きは落ちぶれたセンセイがつかうもんだぞ。
 
 西郷さんが、100年前の津波被災地の地図に、津波被災エリアをかぶせてみたら、100年前の街はほとんど津波がかかっていないことを見せている。
 人口は2~3倍になっているが、市街地は10倍、20倍以上に海に近い低地の農地をつぶして拡大している。だから、そこがもろに津波をかぶったのであった。
 高台を新規開発しなくても、人口も減ってきたし、街を100年前の範囲にコンパクトに戻してもよかろうと、よく分るのである。
●参照→「復興構想会議検討部会メモ 持続可能(Sustainable)なまちづくりをめざして 2」2011年5月7日西郷真理子
http://www.cas.go.jp/jp/fukkou/pdf/kentou4/saigou.pdf

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