2009/01/20

085【くたばれマンション】借家か持家か

 地下鉄に乗ったらこんな広告に出会った。

 曰く
このまま11万の家賃を払い続けても、後には何~んにも残らない、と、思った時から急に家賃が恨めしくなった。マンション、住み替え、一戸建て、いい人生に」

 これはどうも「賃貸住宅はよくないよ、マンションでも、一戸建てでも、買ったほうがいいよ」ということらしい。
 別にこの広告主のジャマをする気はないが、わたしはこの広告主とは考え方が、正反対に違うのである。悪しからず。

 「何~んにも残らない」ので何か残ると思ってうっかりマンションを買うと、どえらいものが残るのである。
 それは、借金と危ない家と個人では建て直しもできないミニミニ土地が残るのである。
 つまり不良資産を抱えるリスクが大きいのである。

 近いうちに確実に起きる関東や東海の大地震で、マンションという大規模区分所有型共同住宅ビルは、倒れるかもしれないし、倒れなくても必ず大被害がおきて、大修繕となるのは専門家でなくてもそれは常識である。
 大地震で全く壊れない家なんて、それは莫大な工事費であるし、建つところも地盤の超よいところに限られる。
 被災した後、そのビルの持ち主全員が同意し、費用負担し、建て直しや修繕ができるだろうか。
 できたとしても借金は積み重なるばかりである。

 これは現実に、姉歯事件やその前の阪神淡路大震災で証明されていることである。
 姉歯事件では賃貸住宅ビルと分譲住宅ビルがあったが、賃貸ビルはすぐに解決したが、分譲の共同住宅ビルはいまだに建て直しになったのは2件だけらしい。
 それにもかかわらず、世の中は分譲マンションを売っているし、買っている。みんな忘れたのかしら。
 政府の政策も、持ち家にはローン減税があるのに、借家に家賃減税がないという大不公平である。
 だから、分かっていながら(いや、もしかしたら分かっていないのかな)危ない分譲住宅ばかりがはびこる。悪貨は良貨を駆逐するのである。

 こんな変な国は、やっぱり日本は発展途上国だな。
 政府は、住宅は十分に満ち足りた、もう五カ年計画もやめたって言っているのに、先日の「日比谷派遣村」みたいに、実は住む家のない人がたくさん居るってことがあぶりだされた。ホームレスも大勢見かける。

 日本では住宅政策がヨーロッパ先進国のように社会政策ではなくて、アメリカや発展途上国なみの経済政策だからだ。それは住宅政策とは言わない。
 だから、アメリカで経済政策としての住宅政策が大失敗して、世界不況になったのだ。
 まあ、日本は世界不況を起こすほどの経済力も実はないんだってことが、逆証明されたようなものだ。
 これでいいのか?
参照→◆名ばかりマンション  ◆姉歯大震災の喚起するもの(2005~2007)
  ◆賃貸借都市の時代へー体験的住宅論(2000~2008)

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